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Excelでシフト管理する本当のコスト

飲食業の現場では、シフトをExcelやスプレッドシートで管理しているお店がまだ多くあります。使い慣れていて、費用もかからない。たしかにExcelは優れた道具です。

ただ、「Excelは無料だから、シフト管理にコストはかかっていない」と考えているとしたら、一度立ち止まって見直す価値があります。お金は出ていなくても、毎月の作業には確実に「時間」が使われているからです。

まずは今の運用にどれだけの時間が使われているのかを、いっしょに整理してみましょう。

Excelでシフト管理するメリット

最初に、Excelの良いところを公平に挙げておきます。

導入費用がかからないことは大きな利点です。多くのパソコンにすでに入っていますし、無料のスプレッドシートでも代用できます。操作に慣れている人が多く、表計算の自由度も高いため、お店ごとのやり方に合わせて自由にレイアウトを組めます。新しいツールを覚える必要がない、という安心感もあります。

小規模で、スタッフの人数が少なく、シフトの変更も多くないお店であれば、Excelで十分まわることも実際にあります。

Excelでシフト管理するデメリット

一方で、Excelには構造的に苦手なこともあります。

Excelは「表をつくる」道具であって、「人とのやりとりを管理する」道具ではありません。シフトづくりは、表を完成させる作業よりも、その手前にある「スタッフから希望を集める」「変更を反映する」「全員に共有する」といったやりとりに多くの時間がかかります。この部分はExcel単体ではカバーできず、LINEや口頭、紙などと組み合わせて人の手で運用することになります。

また、複数人が同時に編集すると版が分かれてしまったり、最新版がどれか分からなくなったりすることもあります。シフトを修正するたびに、印刷し直したり、画像にして送り直したりする手間も発生します。

飲食業で実際に発生しやすい運用

飲食業のシフトづくりでは、Excelの表を埋める前後に、いくつもの作業が積み重なっています。代表的なものを並べてみます。

  • スタッフ一人ひとりからシフト希望を集める(多くはLINEや口頭で)
  • 期限までに返事をくれない人へ個別に催促する
  • 集まった希望をExcelに転記する
  • 希望や人数を見ながらシフトを組む
  • 組んだあとの修正に対応する
  • 確定したシフトを全員に共有し直す
  • 急な欠勤が出たときに代わりのスタッフを探して調整する

一つひとつは「いつもやっていること」かもしれません。ですが、これらはすべて時間を使う作業です。そして多くの場合、この時間は誰の目にも見えるかたちで記録されていません。

その時間を、時給に換算してみる

見えにくいコストを実感するために、ざっくりと時給に換算してみます。

たとえば、上にあげた一連の作業に毎月かかる時間を仮に 3〜10時間 とします。お店の規模やスタッフ数によって幅があるので、ここでは幅をもたせています。

これを、もっとも低く見積もって東京都の最低時給で計算してみましょう。

:以下は東京都の最低賃金(時間額1,226円・2025年10月3日適用)で計算した試算です。実際にシフト作成を担当するのは店長やオーナーであることが多く、その時間価値は最低賃金よりかなり高いのが普通です。つまり、ここで出る金額は「最低でもこれだけはかかっている」という下限の目安です。

  • 毎月3時間の場合:1,226円 × 3時間 = 約3,700円/月
  • 毎月10時間の場合:1,226円 × 10時間 = 約12,300円/月

年間にすると、おおよそ 44,000円〜147,000円 に相当します。くり返しになりますが、これは最低時給で計算した下限の数字です。実際に手を動かしているのが店長やオーナーであれば、本当のコストはこれより大きくなります。

Excelそのものは無料でも、その運用にかかる時間には、最低でもこれだけの価値があるということです。

店長・オーナーが本来向き合うべきこと

ここで考えたいのは、「シフトづくりに使っているその時間を、ほかに使えないか」ということです。

店長やオーナーが本来エネルギーを注ぐべきなのは、たとえば次のようなことです。

  • お客様の満足度を上げるための接客の工夫
  • スタッフの教育や育成
  • 人手不足を解消するための採用活動
  • メニューの見直しや改善
  • 売上を伸ばすための取り組み

シフトづくりは、お店を続けるために欠かせない作業です。ただ、それ自体がお店の価値を直接生み出しているわけではありません。シフトに追われる時間が減れば、その分を「お店をよくするための時間」にまわせます。

まとめ:シフト運用を見直すことは、時間を生み出すこと

Excelは無料で、使いやすい道具です。それは間違いありません。

ですが、シフト管理にかかっているのは「お金」ではなく「時間」です。希望の回収、催促、転記、修正、共有、欠勤対応——こうした作業の積み重ねは、見えにくいだけで、確実にコストとして存在しています。

まずは、自分のお店でこれらの作業に毎月どれくらいの時間を使っているかを、一度ざっくりと数えてみてください。その時間が見えてくると、「シフト運用を見直すこと」が、そのまま「店舗運営の時間を生み出すこと」につながると気づけるはずです。

よくあるご質問

Excelでのシフト管理は本当に無料ですか?

Excelそのものの費用はかからないことが多いですが、シフト希望の回収、催促、転記、修正、共有、欠勤対応といった作業には時間がかかります。お金ではなく時間というかたちでコストが発生していると考えられます。

シフト作成には毎月どれくらいの時間がかかりますか?

お店の規模やスタッフ数によって異なりますが、希望の回収から共有、欠勤対応までを含めると、毎月数時間から十数時間ほどかかることがあります。まずは自分のお店で各作業にかかる時間を数えてみることをおすすめします。

Excelでのシフト管理はやめたほうがいいですか?

一概にそうとは言えません。小規模でスタッフが少なく、シフトの変更も多くないお店であれば、Excelで十分まわることもあります。一方で、希望の回収や修正、共有に時間がかかっていると感じる場合は、運用を見直す価値があります。

シフト運用を見直すと何が変わりますか?

シフトづくりにかかる時間が減ると、その分を接客の改善、スタッフ教育、採用、メニュー改善といった、お店の価値を高める活動にまわせるようになります。